『ピテカントロプスになる日 vol.2~Woman Sings “やな” Song~』 Special Talk 小谷美紗子×柳原陽一郎 

「実は僕、ちょっとアート系ユニット上がりの、プラス、ちょこっとビジュアル系……(笑)」(柳原)


●小谷美紗子(以下、小谷):柳原さんは、いつからバンドをやっていらしたんですか?

●柳原陽一郎(以下、柳原):たまのメンバーと出会ったのが21歳か22歳のときですね。実は全員、最初はギターの弾き語りだったんです。それであるとき、ライブハウスで知り合って、お互いのライブに行くようになって。でも3人ともすごい貧乏だったから、誰かの部屋でダラダラしてるばっかりで、そのうち「バンドごっこでもしようか」ってことになり。下手でもいいから、カシオトーンとギターと太鼓っていう役割に振り分けようってことになったのが始まりです。そのときは“かき揚げ丼”っていうバンド名でした。

●小谷:えっ! あっはははは。

●柳原:やたらとかき揚げ丼ばっかり食べてたから。

●小谷:へぇ~~~~~~~、そうだったんですね。

●柳原:そのあとでベースが入ってきて、出来上がりっていう感じですね。だからバンド上がりじゃないんですよ。ま、ちょっとアート系ユニット上がりで、プラス、ちょこっとビジュアル系(笑)。

●小谷:あっはははは。でも、そもそも弾き語りを始めたのは、いつくらいなんですか?

●柳原:初めて人前でライブをやったのは、高校1年の秋くらいだったんじゃないかな。

●小谷:そのときに、もうライブをなさってたんですね。

●柳原:いや~、無理矢理ですね。ただ人前に出たくって。だるい日常がずっと続くので、とにかく歌をでっちあげてギターでワーッと。吉田拓郎さんとかを見て、気合があればなんでもできるみたいに思ってしまったんですよ。

●小谷:あははは。

●柳原:で、やってみようかな、と。ジャカジャカやれば様になるんじゃないかな、と。まぁ~お粗末なものでしたけど。小谷さんは中学生で曲を作り始めて。

●小谷:17歳くらいのときに事務所に入って、19歳でデビューすることになるんですけど。

●柳原:曲を作るときはピアノですか?

●小谷:はい。

●柳原:ちなみにそのとき、歌詞はあるんですか?

●小谷:まちまちなんですけど。一番多い書き方は、フラストレーションみたいに溜まったものが、同時にこう出てくるというか。それが一番書きやすい。

●柳原:それは怒りみたいなもの?

●小谷:怒りとか悲しみとか、疑問に思うこと。

●柳原:それが言葉とメロディーになって一緒に出てくるんだ……。はぁ……すごいね。

●小谷:そうですか?

●柳原:いやいや、何かが破綻せずに両方出てくるのは、すごいことだと思います。昔は僕もそういうことがあったような気がするんだけど。とはいっても怒りとかじゃなく、もっとバカバカしい言葉ですけど。「金がない~」みたいな。僕、バンドのときとか、ずっとメロディー人間って言われてたんですね。編曲好きとか。だけど最近は全部、歌詞からなんです。

●小谷:あ、そうなんですか。

●柳原:だから曲と歌詞が同時に出てきた時代がすごく懐かしい。そんなこと、あったなぁって。

「柳原さんの『真珠採りの詩』、曲調とか、すごく好きなんです」(小谷)


●柳原陽一郎(以下、柳原):弾き語りの同業者としての質問なんですけど。弾き語りしにくい曲ってあります?

●小谷美紗子(以下、小谷):あります、いっぱいあります。

●柳原:そういう曲も弾き語りするんですか?

●小谷:最近はトリオでやることが多いんですけど。そうすると、どちらかというと先にこういうアレンジでっていうのが固まっていて、それに隙間を作りながらピアノを置いていく感じの作り方になるんですね。

●柳原:リズムセクションの感じが先にあって。

●小谷:そうなんです。ベースとドラムがこう鳴ってくれているから、私はこういうふうに歌って弾けばいいというのがあるので。それを逆にして、ピアノをメインにするっていうのがすごく難しくて。

●柳原:曲の構造も、そうなると違ってくるから。

●小谷:そうなんです。弾き語りでやるっていうことだと、ピアノと歌だけで完成していないとダメだから。でもそうやって完成させてしまうと、今度は他の楽器が入るアレンジにするのが難しくなるので。最近はトリオで演奏することを前提に、ちょっと隙間を空ける書き方をしていたんですね。そしたら、今度はそういう曲を弾き語りにするのが難しくて。だから、やってない曲も多いですね。

●柳原:僕も最近はずっと弾き語りをしてるんで、そういうつもりで曲を書くから。まぁ弾き語り用に書けるようになったっていうだけでも、自分に拍手を送りたいんだけど(笑)。バンドのときに書いてたような隙間だらけのイージーな感じも、懐かしいんですよね。

●小谷:そうなりますよね、弾き語りをやっていると。

●柳原:弾き語りって、あるフォーマットに絶対いかないといけないっていうの、あるじゃないですか。

●小谷:はいはい。

●柳原:そうじゃなくてバンドで「はいはい、お任せ」みたいな。それで充分盛り上げてくれるようなことが、ちょっと懐かしいときもあります、正直言って。

●小谷:わかります、すごくよくわかります。

●柳原:ところで今回のセッションですけど、小谷さんが『真珠採りの詩』もお好きだと聞きまして。それ、やりましょうか。

●小谷:はい! 曲調とか、すごく好きなんです。

●柳原:じゃ、それを歌っていただいて。私の曲で恐縮ですが『さよなら人類』も、みんなで歌っていただきたくて。あとは小谷さんの歌で、もしよければ僕が何か歌わせていただこうかなって。

●小谷:ぜひぜひ~。ぜひ歌ってください。

●柳原:小谷さんの曲で好きな曲はいっぱいあるんですけど、好きだからやれるっていうわけでもないから。難しいところなんですよね、相談しなきゃいけない、自分の技量と(笑)。

●小谷:『真珠採りの詩』は私がピアノを弾いてみますね。

●柳原:じゃ私はデジピかギターで。うん、デジピが面白いかもしれないね。……んなこと言って大丈夫か、私のスキルで(笑)。いや、ご期待に添えるよう頑張らせていただきますんで。ぜひ見に来てください。


『ピテカントロプスになる日 vol.2~Woman Sings “やな” Song~』

■出演:柳原陽一郎 / 青葉市子 / 小谷美紗子
■開催日時
 
2016年10月17日(月)
 18:30 OPEN / 19:00 START
■開催場所
 duo MUSIC EXCHANGE

 東京都渋谷区道玄坂2-14-8 O-EASTビル1F
 ●duo MUSIC EXCHANGE Webサイト:http://www.duomusicexchange.com
■チケット料金
 前売り¥3,500(税込) / 当日¥4,000(税込)
 ※ドリンク代別途必要
■主催:MUSIC for LIFE / 企画・制作:SWEET DELI RECORDS / MUSIC for LIFE
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