2017年7月12日 (水) アルバム発売記念ライブ「タイム・フライズ」おおはた雄一 Special Interview

8枚目となるオリジナルアルバム『タイム・フライズ』を4月27日にリリースしたシンガーソングライター&ギタリスト、おおはた雄一。光陰矢の如しを意味する“タイム・フライズ”。“時間”を裏テーマに書かれた楽曲たちは何気ない日常の心理描写が描かれ、多くの共感と共に、忙しない日常の中で一度立ち止まって考える時間を持たせてくれるような作品。そんなアルバムを引っ提げて7月12日にShibuya duo MUSIC EXCHANGEにてアルバム発売記念ライブ「タイム・フライズ」を開催する!!

インタビュー・文:牧野りえ

なんとなく今回はひとりっきりで作ろうと思ったんですよ。


──今作『タイム・フライズ』のテーマになったことはありますか?>

●おおはた雄一(以下、おおはた):“時間”というのがひとつの裏テーマかなと思って書いてました。それぐらいですかね。今までにも“時間”をテーマに書いた曲は結構あるんですけど、最近ますます時間が経つのが早い気もするし。あとツアー先で小学校の女の子がインタビューを受けてるのを観たんですけど。震災の後だったのかな? “命って時間のことだと思うから”みたいなことを小学生の女の子が言ってて。それを聞いてすごく衝撃を受けたのを覚えていますね。

──タイトルチューン「タイム・フライズ」もまさしく“時間”がテーマの曲ですね。

●おおはた:前作の時からあった詞で、“光陰矢の如し”みたいなイメージで書きました。たまに愕然としますよね、今の自分の年齢を思うと。でもそれって、25の時も思ったはずだし、35の時も思ったはずなんですよね。いくつになっても年齢に慣れないというか。35に慣れないなと思ったら36になっちゃうし、36に慣れないなと思ったら37になっちゃうし。

──おおはたさんご自身、以前の作品と変わったなと思う部分はどんなところですか?

●おおはた:自分に言ってたり誰かに語りかけてるようなものが多いと思うんですけど、昔よりはストレートにはなったと思いますね。40過ぎた男の臭さが出てきたなと自分でも感じましたけどね。レコーディングではより自由に、より力抜けてきたなって思います。委縮せず、マイクの前で素になれるようになってきたというか。それはここ何作か一緒に作ってきたエンジニアとの関係性もやっぱり大きいと思うんですけど。

──今作は全曲、おおはたさんおひとりで演奏されたそうですね。オリジナルアルバムでは初めての試みだと。

●おおはた:なんとなく今回はひとりっきりで作ろうと思ったんですよ。まずは弾き語りをしてギターと歌を録って、そこにちょっとだけ色づけをするという感じですね。エレキギターを重ねたり。そこでベースやドラムを重ねてしまうとつまらなくなっちゃうんですよ。ひとりでバンドを再現するほど寂しいものはないというか、そこまではやりたくなくて。やっぱり自分のギターだけで完結したかったんですよね。

──ジャッジはおおはたさんご自身ですか?それともディレクターさんが?

●おおはた:ディレクターはいないんですよ。エンジニアとスタッフがひとりないしふたりいるぐらいで。みんな自分より下の世代なんですけど結構ズケズケとモノを言ってくるんですよ(笑)

──そうですか(笑)

●おおはた:それこそジャケットデザインもここ何作かsunuiというチームが手掛けてくれてて、“聴いて好きなようにやってください”みたいな感じで基本はお任せで。みんな自分の作品として“ああでもない、こうでもない”と言ってやってくれてるのは嬉しいですよね。


──いろんな楽曲が収録されていますが、印象に残っている制作エピソードを教えてください。

●おおはた:「君を忘れちゃうよ」はまだ曲が出来かけの時に畠山美由紀さんのラジオの生放送でやったんですよ。それを後で聴いてみた時に何かもうちょっと足したいなと思ってブリッジを書いたり。「時間の星の上で」は、これもまたズケズケと言う友達がいまして、ライブで一回やった時に“まあまあいい曲だからもうちょっとよくなるようにがんばれば? Cメロとかあったほうがいいじゃん”って言われて、“なんだよ。じゃあ書いてみようかな”と思って書いてみたり。

──“なんだよ”と思いながらも書かれたんですね(笑)

●おおはた:「まちぼうけ」はもともと全然違うテイクだったんですよ。J・J・ケイルっていう僕の好きなシンガーソングライターみたいにエレキでガガッと渋くやってみたんですね。俺的にはすごいカッコいいと思ったんですけど、みんな首かしげて“なんかよくわからないなぁ”みたいな。入れなくていいんじゃないですか? ぐらいの意見が出てきて(笑)。“じゃあ即興でやってみるわ”と言ってその場で適当にギターを持って歌ってみたのが今回入ったんです。全然違うバージョンになりましたね。

──実際に待ちぼうけをしている時にできた曲なんですか?

●おおはた:待ってたわけじゃないですけど、昼間、駅前とかでボーッとしてた時に“鳩も忙しそうだな”って思ったんでしょうね。それで歌にしました。そういう意味では「独り言」もそうですね。一曲録る前に力を抜くために何曲か歌うんですね。即興で適当に歌ってるのも一応録音しておくんですけど、その中の一曲ですね。サッと終わる短い歌がすごい好きで。アルバムの中にこういう曲が入ってるといい箸休め的な感じでいいですよね。

──ラストの“変わる”ことについて書かれた「今日がその日になればいい」もすごくいい曲ですね。

●おおはた:自分の日常の中にある景色ってやっぱり東京なんですよね。旅をしてると日本中に行くし、いいところもたくさんあって。旅が活動のメインだったらどこで暮らしていてもかまわないんですけど。実際に移住するアーティストもいるし。じゃあなんで自分はずっと東京にいるんだろうなってよく考えるんですけど、東京にいないと曲が書けないだろうなって思うんですよね。それこそ渋谷もよくプラプラしてるんですけど、ほんとに渋谷って嘘みたいに変わってくじゃないですか、地下鉄の乗り場も工事でどんどん変わっていくし。日本中廻っていろんな景色を見て東京に帰ってきて作るみたいな感じですかね。

──おおはたさんの日常のいろんな場面が曲になっているんですかね。

●おおはた:だいたいこんな感じですね。友達からは“Facebookより日常がわかるね”って言われて恥ずかしかったです(照笑)。でもそれは嬉しいことでもありますけどね。

──さて7月12日にShibuya duo MUSIC EXCHANGEでアルバム発売記念ライブ「タイム・フライズ」が行われますね。

●おおはた:今歌いたい歌をやりたいと思っているので、近年の作品が中心になるかなと思います。

──セットリストはこれから考えられるんですね?

●おおはた:いや、基本的にセットリストは決めないんですよ。いつも出たとこ勝負みたいな感じでやってるんで。決めてやってみたこともあるんですけど、まぁひとりだし決めなくてもいいかなって。そんなこと言ってて当日バッチリ決めてたらすみません(笑)

──実際にその時にならないとわからない楽しみがありますね。

●おおはた:本人がやりたいことをやってるんだなというのが一番観てて楽しいと思うし。言い過ぎかもしれませんがそれを許してもらってるタイプのミュージシャンなのかなとは思っていて。僕がみんなの期待に応えて歌わなくちゃいけないというような曲もないし。自分が今やりたいことをアピールしつつ、“これが観たかったんだよね”って言ってもらえるようなライブができればいいなと思いますね。


■開催日時
 2017年7月12日 (水)
 19:00 OPEN / 19:30 START

 ■開催場所
 duo MUSIC EXCHANGE

 東京都渋谷区道玄坂2-14-8 O-EASTビル1F
 ●duo MUSIC EXCHANGE Webサイト

 ■チケット料金
 前売り¥3,300(税込) / 当日¥3,800(税込)
 ※ドリンク代別途¥500-必要

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